危ない見積書―「占用申請一式」と書いた瞬間に起きていること―

こんにちは。茨城県結城郡八千代町の行政書士、くぼやです。

建設工事や設備工事の見積書で、こんな表記を見たことはありませんか?

・道路占用申請一式 30,000円
・占用申請サポート費
・役所対応費 一式

実はこれ、かなり危ない書き方です。

しかも問題になるのは「実際に何をやったか」ではありません。

書いた瞬間にアウトになる可能性があります。


なぜ「見積書に書いた瞬間」なのか

多くの方は、こう考えています。

  • 実際に申請したら問題
  • トラブルになったら問題
  • 役所に怒られたら問題

でも、行政書士法の世界では違います。

問題になるのは、**やったかどうかではなく、“業としてやる意思を示したか”**です。

見積書は、

「私はこの業務を、仕事として報酬をもらってやります」

という意思表示そのもの

つまり、

  • 他人の依頼を受け
  • 報酬を得て
  • 官公署に提出する書類を扱う

という構成が、見積書1行で完成してしまいます。


「一式」「無料」「工事費込み」でも逃げられない

よくある反論がこれです。

「一式にしてるから大丈夫」
「工事費に含めてるから問題ない」
「無料って書いてあるからOKでしょ?」

結論から言うと、全部ダメです。

行政書士法(令和8年改正)では、

いかなる名目によろうとも

と明記されます。

つまり、

  • 表記
  • 名称
  • 名目

ではなく、実質で判断される

見積書に「占用申請を業として扱っています」と読める記載があれば、アウトです。


「自治体や企業団はやってるじゃないか?」という誤解

ここで必ず出てくる疑問があります。

「でも、水道や下水は町や企業団が申請してるよね?」

これは全く別の話です。

自治体や企業団がやっているのは、

  • 自己の事務
  • 条例・要領に基づく事務
  • 公的事業の一環

です。

一方、民間業者が見積に書くのは、

  • 他人のための事務
  • 私的契約
  • 報酬を得る業務

同じ「申請」でも、立っている土俵が違います。

同じ「申請」という言葉を使っていますが、自治体がやっているのは自分の仕事(公的事業)

一方、民間業者が見積書に書くのは**他人の仕事(私的契約)**です。

行政書士法が問題にするのは、右側の世界です。

→詳しい解説はこちら


本当に危ないのは「現場」ではない

誤解されがちですが、一番リスクが高いのは現場ではありません。

  • 見積書
  • 請求書
  • 契約書

こうした紙が残るものです。

行政から見れば、

「自分で“業としてやってます”と書いていますよね?」

で終わります。


じゃあ、これからどうすればいいのか

現実的な選択肢は3つです。

① 占用申請は施主本人が行う

最も安全で、単純なケースなら十分可能です。

② 占用申請は行政書士に依頼する

費用はかかりますが、法的には一番きれい

③ 見積書から「申請行為」を完全に外す

どうしても関与する場合でも、

  • 書類作成
  • 申請代行
  • 提出

と読める表現は一切使わない


正直に言います

占用申請が5,000円で済むような案件に、行政書士が入る意味はほとんどありません。

でも――

見積書1行で何十万円のリスクを背負う

これは、割に合わなさすぎます。


まとめ

  • 危ないのは「やったか」ではない
  • 危ないのは「書いたこと」
  • 見積書は意思表示
  • 自治体と民間は別世界

これからの時代、“危ない見積書を書かない”こと自体がリスク管理です。


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