自治体が申請代行しているように見える理由

こんにちは。茨城県結城郡八千代町の行政書士、くぼやです。

前回の記事では、見積書に「占用申請一式」と書いた瞬間に危ない理由を解説しました。

ここで、多くの方が次にこう思います。

「でも、水道や下水って町や企業団が申請してるよね?」

「あれは良くて、民間がやるのはダメなの?」

今回は、この疑問に正面から答えます


結論を先に言います

自治体や企業団がやっているのは「申請代行」ではありません。

見た目は似ていますが、法的な中身はまったく別物です。


なぜ「自治体が申請している」ように見えるのか

水道や下水の工事では、実務上こんな流れになります。

  • 施主は申込書を出すだけ
  • 図面や協議は役所側で処理
  • 道路占用もまとめて動く

これを外から見ると、

「町が占用申請を代行している」

ように見えます。

しかし、ここに大きな誤解があります。


自治体・企業団がやっていることの正体

自治体や企業団が行っているのは、

  • 自己の事務
  • 条例・要領に基づく事務
  • 公的事業の一環

です。

水道・下水は、

  • 水道法
  • 下水道法

に基づく公営事業

道路占用の手続きも、**「事業を実施するために自分でやっている」**だけです。

つまり、

❌ 他人のための申請
⭕ 自分の仕事を進めるための申請

この違いがあります。


「申請者」と「手続を動かす人」は別

ここが一番ややこしいポイントです。

よくある構造

  • 占用の名義:個人(施主)
  • 実務処理:自治体・企業団

この場合でも、

  • 自治体は「代理業」をしているわけではない
  • 行政書士法の世界には入らない

なぜなら、そもそも“報酬を得て他人の事務をやっている”わけではないからです。


じゃあ、民間業者がやったらなぜアウトなのか

一方で、民間業者が

  • 見積書に
    「占用申請一式 ○円」
  • 「役所対応費」
  • 「申請サポート費」

と書いた場合。

これは、

  • 私的契約
  • 報酬を得て
  • 他人のために
  • 官公署提出書類を扱う

という構造になります。

同じ「占用申請」でも、

  • 自治体:自己の事務
  • 民間:他人の事務

立っている土俵が違う

これが、OK/アウトを分ける決定的なポイントです。


水道と下水で、自治体の関与が強い理由

特に下水道では、

  • 本管
  • 取付管
  • 公共ます

までが自治体の管理物です。

つまり、

下水の引き込みは個人の工事に見えて、実は「町の施設工事」

という側面があります。

このため、

  • 占用協議
  • 工事調整
  • 書類整理

を町がまとめて行うのは、極めて自然な制度設計です。


「自治体がやってるから大丈夫」は一番危ない

ここが重要です。

自治体がやっている

民間も同じことをやっていい

これは成立しません。

  • 自治体:公法の世界
  • 民間:私法の世界

同じ言葉を使っていても、適用されるルールが違う

1本目の記事で触れた「危ない見積書」は、まさにこの誤解から生まれます。


行政書士の立ち位置はどこか

正直に言います。

  • 占用申請が定型
  • 自治体完結
  • 手数料5,000円

こうしたケースに、行政書士が入る意味はほとんどありません。

しかし、

  • 占用が通らない
  • 例外・縦断
  • 私道・法定外公共物
  • 管理者が複数

こうなった瞬間、民間と行政の境界を整理できる人間が必要になります。

それが、行政書士の役割です。


まとめ

  • 自治体がやっているのは「代行」ではない
  • 自治体は「自分の仕事」をしている
  • 民間が同じことをすると立場が変わる
  • 見た目が似ていても、法的構造は別

水道・下水の占用申請は、行政の世界を理解しないと必ず誤解します。


こうした誤解が生まれる背景には、道路占用を取り巻く運用の変化があります。
▶ 昔は通ったのに…道路占用が厳しくなった理由


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